2024/11/18

米井代表理事 × 雜賀名誉会長 対談インタビュー『次代を担う子供たちのために、日本の未来のために。』

左:財団代表理事 米井嘉一、右:財団名誉会長 雜賀慶二
左:財団代表理事 米井嘉一、右:財団名誉会長 雜賀慶二

長い歴史のある東洋医学や昔からの予防医学、言い伝えられているものを大切に

―「医食同源生薬研究財団」の設立にいたるきっかけは何だったのでしょうか?

雜賀名誉会長:

はい、背景はいろいろありますが、私自身がもともとものすごい病弱だったんですね。とにかくよく熱を出して、寝込んだり、風邪をひいたり。口の中にはいつも口内炎があって、それがまた痛くてね。新婚旅行でも往路で体調を壊して、到着駅の駅前の薬屋を探しましたから。まぁ、そんな感じだったんですが、ある時あっという間に元気になって。それは何かというと、食べるコメが変わったんです。コメが変わったというより、コメの加工の仕方が変わったんですね。

なんでコメが原因だろうと思ったかというと、その頃いろいろと調べていたんですけど、日本の医療費は昭和30年頃から急激に増えてきているんですよ、毎年一兆円ずつくらい。これは、日本国民に病人が増えているってことですよね。それが昭和30年頃から始まっているんです。その頃、私は精米機のディーラーをしていて、ちょうど新しい精米機が出た頃だなと思いあたりました。それまでの精米機は精米してもコメは真っ白にはならなかったんですけど、新しい精米機だと真っ白になってね。そして食べたら美味しいんです。昭和30年っていうと、ちょうどその頃だなと思って。

また、歴史を遡っていくとですね、江戸時代に『江戸患い』っていうのがあったんです。地方の元気な人が江戸に出てくると病気になって、また地方に戻ると元気になる。だから江戸の風土病だって言われたらしいです。後に分かるのですが、これはビタミンB1の欠乏が原因の脚気だということです。この頃にもコメの精米方法が変わって、コメに磨き砂を入れて精米する「混砂精米法」というのが流行ったんですね。これで短時間でコメが白米になるんですごく流行ったようですね。ただしばらくすると、食べるコメに砂を入れるのは汚いからやめてくれ、という消費者の声が多くなって条例で禁止されました。江戸患いが急に増えて急になくなっていく時期とそれが一致するんですね。それで私は、白米が原因となっているだろうと思ったわけです。精米方法が発達して真っ白の白米が増えた結果、今は副食が豊富だから,脚気にはならないが,コメにしか無いい栄養素の欠乏で、いろいろな病気が増えてきているんじゃないかと、そんなふうに私は仮説を立てたわけです。

それから、私はいろいろと研究を重ねていきました。コメの栄養素は玄米の糠の部分にあるんです。ただこの部分を残そうとすると味が悪くなる。削っていくとだんだん食べやすくなって美味しくなっていくんですが、栄養分が減っていく。これはなんとかならんかな、と思って。だんだん分かっていったのは、糠にもいろいろあって、美味しいところもあれば、不味いところもあるんですよ。美味しくて栄養素をたくさん含んだ糠の部分もあるんですね。そして、玄米の栄養素はほとんどそこに集約されています。それが糠の一番深い層にある。これだ!と思いましたね。ただ、今までの精米機ではそれだけを残すことができなかった。それで私はさらに研究を重ねて、試行錯誤して、その深層の糠層だけが残るような精米機を開発しました。それを食べて見たら美味しくてね。普通の白米よりも美味しいんですね、甘味があって。

まぁ、自宅でその加工玄米を食べるようになって、体の調子がすごく良くなってきたんですね。そうこうすると、会社で社員たちが「あれほど病弱だった社長が元気になったのはなんでだ?」ということをいうものだから、このコメだと言いました。このコメを炊いて食べているんだと。そしたらみんなが自分たちにも食べさせてくれ、というので、給食の米をそれに変えて食べさせたんですよ。そしたら美味しいからこれからも続けてくれと。

その後、協会けんぽというところから、事業所カルテというのがきているんですけど、それを見ると、当社の社員の平均医療費がかなり低いことが分かったんですね。全国の平均とか和歌山県の平均からみても、かなり低かったんです、60%くらい。当社の平均年齢は高かったんですけど、医療費は低い。それは非常に素晴らしい結果だということでした。

そしてある時、地元の和歌山の知り合いの経営者にその話をして、興味があればこのコメを出すよっていう話をしたところ、2つの会社が興味を持ってくれて、コメを提供しました。その2社は、医療費が和歌山県の平均よりも高かったんですけど、1年間このコメを食べてみたところ、次の年の事業所カルテを見ると、もうドーンと下がっているわけですよ。これはなかなか効果があるものだな、とそう思いました。

米井先生とはたまたま何かの会で知り合いまして、それで先生にこんな結果が出たんです、と見せると、これは素晴らしいと仰って、医療費の数字の根拠があって、素晴らしいエビデンスです、ぜひ論文にしましょう、ということで、それで先生に論文を書いてもらって発表しました。

日本は社会保障費が非常に高いです。社会保障費っていうのは医療費と介護費と年金があるんですが、医療費だけでも40数兆円ってなっていて、そのほかも合わせると100数十兆円にもなります。これが毎年どんどん増えていくわけです。これはなんとかしないといけないと思って、国に対して我々が持っている特許権を寄付するから、国の裁量で国民は白米をやめてこのコメにしたらどうですかって言ったんですよ。まぁ、いろいろやりましたが、結局それは上手くいかなかったんですね。だからそれを、国がやらないというのであれば、我々でやるしかないな、と思いましてね。

今、日本では、西洋医学一点張りですけど、明治時代までは東洋医学だったんですね。西洋医学っていうのは、病気になるまでは何もしないで、病気になってから治す。治すといっても病気の根本ではなくて、いわゆる対処療法ですよね。確かにこの西洋医学もどんどん進歩して素晴らしいですけど、やっぱりね、根本的な解決を目指すということでは、伝統の東洋医学ではないかと。予防医学という意味でも、やっぱり長い歴史のある東洋医学を大切にしていくべきだと思っています。昔からある予防医学とか、言い伝えられていることでも素晴らしいものがあると思うんでね。そういったものを普及させたいと思って、それで米井先生に相談しました。そしたら、米井先生も乗り気になってくれて、この財団を立ち上げて広げていこう、ということになったんですね。

米井代表理事:

そうですね、最初に見せていただいたのが、先ほど仰っていた従業員の方々が医食同源米(※)を食べて医療費が減ったというデータで、これは面白いですね、と言って論文にしました。それから同志社大学で臨床試験をやったり、医食同源米を食べた時にどんな効用があるかとか、そういった研究をやらせてもらいました。そこから何度か話し合いをする機会がありまして、そうこうしている間に財団を作ったらどうか、という話が出てきました。

私はもともと内科、消化器内科だったので、食育とか栄養学も重要な問題でした。消化器内科だと人間ドックもやるんですが、人間ドックも予防医学なんです。予防医学も非常に大切ですね。2000年に抗加齢医学会っていうのを立ち上げたんですが、これも究極の予防医学です。元気で若く、それを保つ、予防医学ですよね(笑)。私はそれまで、一般の勤務医だったんですが、2005年に同志社大学に移りまして、教育と研究をやりました。厚労省とか文科省とか、あるいは農林水産省などから研究費をもらって。研究費をもらうのはなかなか大変で、私がこれまでもらった研究費で一番大きかったのは、農林水産省のものですね。食の研究で。なので、私は農林水産省族の研究員といえますかね(笑)。

そうして、この財団で何をしようかと、皆さんで意見を出し合ってですね、産官学の叡智を結集して、日本の抱えている国難を解決するような研究を支援しようという方針になったんです。じゃぁ、日本の国難とは何か?ということですが、まず厚労省としては、医療費の削減とか、健康増進ですね。農水省でいえば、地方の活性化、農業の活性化です。そして、内閣府としては少子高齢化の問題ですね。農業を活性化できれば地方も活性化するし、それから医食同源米の栄養素を取り込んで医療費の削減、健康増進できるので、それで、加工玄米(医食同源米)を日本に広げていこう、そういう研究を支援するのはすごく良いな、と思いました。

次にですね、誰をターゲットにするかということを話し合うんですが、やはり雜賀会長はすごいな、と思ったのは、日本の将来を支える若者を支援しよう、という確固たる精神を持っていらっしゃるんですね。子供たち、それから子供を産んで育てる若い親世代への支援が大事だって。それに非常に感銘を受けまして、学校給食とか、学校現場へ提供するとかね。妊娠した妊婦さんに医食同源米を提供するとか。そうやってターゲットが子供たち、妊婦さんと絞られて。少子化の問題にも関連するので、そういった研究を支援しようとなりました。ですが、やっぱりそこにはデータが必要なんですよね。研究っていうのはお金がかかるので、もうそこは自分たちが今持っているものをうまく活用していくことを考えました。

江東区の幼稚園に医食同源米を食べているところがあって、その幼稚園と医食同源米を食べていない幼稚園を比較しました。すると、医食同源米を食べている方がコロナウィルス感染症が少なかったんです。そういうことが分かったので論文化して、それも大きなポイントになりました。そういう事例や自分たちの持っているデータを集めて、それから医食同源米自体の成分や、その成分の効能を調べて、そういった情報を集めながらいろいろな市町村に訴えかけていきました。

財団代表理事 米井嘉一


―具体的に興味をもった自治体などはありますでしょうか?

米井代表理事:

市町村レベルで一番最初に当財団と包括連携を結んでいただいたのは大阪府の泉大津市です。その次は島根県の安来市、それから長野県の南箕輪村。4つ目が大阪府の田尻町となります。

また、今年の4月からは沖縄県の宮古島との連携も始まっています。きっかけは宮古島の医師会に私の知り合いがいたんですが、宮古島では島民に健康問題がいろいろある、というわけです。肥満やら何やら。そこでなんとかならないか、というので、まずは講演をしよう、ということになって、宮古島に講演に行きました。最初が2019年の10月です。ちょうどその頃に、雜賀会長や東洋ライスの方々と知り合って、玄米とか加工玄米が良いというのが分かっていくわけです。あと、私が親しくしていた琉球大学の益崎教授という先生がいらっしゃるのですが、その先生は玄米とか玄米に含まれているγオリザノール(米糠油の成分)とか、そういったものが非常に良いというわけですね、沖縄の肥満問題に。肥満問題というのはメタボリックシンドロームで、それは動物性脂肪依存症だって言うんですよ。ニコチン中毒やアルコール中毒といったものと同じだと。そういうものに玄米とか米糠油の成分が良いということを、すごく良い論文で発表されているんです。

だから、その益崎先生のデータと私どものデータを集めて、宮古島の医師会の先生方、教育委員会の先生方に呼びかけました。20233月の講演の時にですね、その講演はアンチエイジングをテーマにしていたんですが、その時には幼稚園のデータも出てきたんで、免疫が上がるということも説明して、いろいろデータを見せて紹介しました。これをきっかけにして、だいたい1年くらいかけて、20244月から宮古島での取り組みが始まりました。


生命力=酵素の活性力!コメも人も健康に。


―未来を支える子供たちや妊婦さんを支援するなどの活動への思いをお聞かせください。

雜賀名誉会長:

もう私は90歳ですからね、この歳になるとやっぱり自分たちのことよりも日本の次代のことを考えます。子供たちを健康に育てていかないといけない。変なものを食べさせたらあかん。子供たちにちゃんとしたコメを食べさせなあかん、とそう思っているわけです。あと、子供を産む妊婦さんですね。

これからの日本を支えていくためには、妊婦さんを大事しないといけないな、と思います。

一方で、日本は外国に対しても、これから日本の健康に良いコメをしっかり輸出していかないといけないです。そのあたりを本来は国がやっていけば良いんですが、なかなかやらないんで、それなら私がやるかってことで、考えたんですね。世界最高米っていうのを作って、ギネスに載せたんですね。これは世界一高価なおコメってことではあるのですが、このコメは非常に生命力が強いんです。生命力って何かというとやっぱり酵素なんですね。酵素の活性力が強いと発育もすごく良いんですよ。このコメを作っている農家さんの田んぼの土を調べてみると、土の中の土壌菌がものすごく多いんです。なんでこんなに多くの土壌菌があるのかなと思っていろいろ聞いてみると、米の精を使っているというわけです。米の精っていうのは無洗米の副産物ですが、土壌菌を増やすのにものすごく起爆剤になるんですね。その農家で作っているカボチャも調べてみましたが、種にはものすごく多くの酵素がありましたね。

また、ちょうどその頃に知り合った方で発達障害の方を預かる塾をやっている人がいまして、その人はもともと脳の研究をされていたらしいですね。それで、子供たちを預かってどういうにすれば良いかいろいろやってみたところ、一番良く効いたのがロウカット玄米だっていうんですね。これを食べさせたら、それまで暴れていたのが大人しくなったと言うんですよ。顕著な効果が出たと。私はその人に、コメの話とかカボチャの種の話とか、とにかく生命力が強い、酵素が多い、という話をしたんですね。そしたらその人が、人間の胎児も同じじゃないですかって言われたんですよ。それを聞いて私は、ガーンってきてね。子供にちゃんとしたものを食べさせなあかんってずっと思ってましたけど、先ず胎児を生む妊婦も大事だな、と思いまして。そこから一気に、変わったんですよ。これから日本を支えていくには、妊婦を大事にしないとって。

財団名誉会長 雜賀慶二


その研究がどれだけの効果を持ち、社会に貢献していくか。それこそが研究の成果である。


―財団のテーマを「医食同源」とするなかで、今後、とくに重視していきたい農産物は何ですか?

米井代表理事:

いろいろな農水産物に可能性はあると思っています。医食同源なのでさまざまな食材が該当しますよね。食育っていっても広いですし。例えばパンとか、小麦とかもありますよね。全粒小麦も良いと思います。だからその全粒小麦の研究支援をしても良いと思いますが、ただ限られた予算の中でまず何をやるかってことを考えないといけないです。研究ってやっぱりお金がかかるんですね。すぐに1,000万円、2,000万円ですよ。我々は公益財団法人なので、寄付で成り立っていますし、予算も限られているわけです。その限られた予算の中でまず何をやるか、ということを考えたとき、まずはコメに特化していくのが良いのではないかと考えました。財団としての独自の色を出していかないといけないですし、何をアピールしていくかということを考えて、財団が主導する研究では今はコメに特化した形でやっています。

雜賀名誉会長:

我々が子供の頃にはね、怪我なんかすると、植物とか塗るわけですよ。あとムカデとか。油の中にちょっと放り込んでね。それがまたものすごく良く効くんです。どんな傷でも治すのがすごく早くて。そんなような、西洋医学ではない昔の古い方式の一種の治療ですね。そういったものがたくさんあるし、今は埋もれてしまっている、だけど人類に貢献できるようなもの。予防医学もあるはずだから、そういうものを発掘していきたいな、と思っています。

あとですね、我々が一番力を入れているのは、社会実装です。いわゆる世の中に大いに活用されてこその研究成果だと思っているんですよ。その研究が社会にどれだけの効果を持ち、あるいは貢献できるかっていうことがないと意味がないと思っています。だからやっぱり社会実装が生まれるような研究じゃないとあかんと思って、私はそこに力を入れてるんですね。

またですね、私はずっと、まだ世の中の誰もやっていない、しかし、それは社会が必要としているもの、これこそがやる意味があると思っています。私はもともと病弱で、生存競争に勝てない、と思っていたんですよ。この生存競争のものすごく激しい世の中で、自分が一番弱いって思ってたんですよ。だから、みんなやっているところに行ったら絶対負けてしまうから、まだ誰もやっていないところであったら新天地ですからね、なんとか行けるやろ、と思いましてね。それで、私はずっとやってきたんです。その結果、発明とかもあったりして、社会から見ると生存能力が高いみたいに思われるかもしれないですけど、実際は逆なんですよ(笑)。

だから財団法人も、とにかく社会がまだ手をつけていない、健康をテーマにやっているところはあるかもしれないですけど、社会実装に重きを置いたり、医食同源っていう大きなテーマを掲げたりね。うん、誰もやっていないことをやらなくちゃ。しかもこれは日本の国民にとってとても大事なことだから、我々は微力かもしれないですが、国に代わってやるんだと、国がやらんからやるんやと、その意気込みで、やっているんです。


まだ誰もやったことがないことだから価値がある。社会にいかされる研究を。

―一般財団を立ち上げて、一年足らずで公益財団になります。とてもスピード感があるように感じます。

雜賀名誉会長:

公益財団法人には最初からなれないんです。最初は一般財団法人で、しばらくして申請すると審査の上で認められる、ということです。通常は数年かかると聞いていますが、これが意外と早くて一年もしないうちになったんです。


―社会実装が重要というお話ですが、今注目されている研究があれば教えてください。

米井代表理事:

例えばですね、不妊でお困りの夫婦だけではなく、妊娠して出産に至る確率っていうのは100%ではないんです。90何%ですかね。それは年々減りつつあるんですけど、医食同源米を妊婦さんに支給して、それが100%に近づくのかどうか、元気な赤ちゃんが生まれるかどうかっていうのを、これから調べていこうと思ってやり始めたところです。そのデータはいただけることになっているので、非常に興味深いですね。一つの市町村で成功すれば、他のところにも広がっていくと思いますし。おコメを変えることによって、元気な赤ちゃんが産まれてくるのか、また、日本の未来を支える子供たちの肥満が減るのか。宮古島ではどうなるのか。

今データがあるかって言われるとないのですが、そういった実証をやっているところです、子供の肥満が減るのかっていうことを。また教育委員会では子供たちの体力測定もやっているんですけど、そういうものが例えば宮古島の小学校でどうなのか、今後良くなるのか、そういったところを見ていきます。

公衆衛生学的にいうと、その研究デザインではダメらしいですが、私たちは、今あるデータを使って、公共のデータ、市町村のデータを使って解析していこうという作戦を考えています。例えば、データヘルス計画というのがあります。それはいろいろな医療費の情報が、市町村ごとの保険診療のデータなどが記録されているもので、そういうものをいろいろなプロジェクトに活用しよう、というものですが、我々もできればそういうものを活用させてもらって、実際に宮古島の子供たちの医療費が減るのかとか、他の市に比べてどうなのか、とか、そういうことが分かっていけばと思っています。

やり方次第で大きなお金をかけなくてもできることもあります。県レベルとか、市レベルですから、大きなデータになっているんですね。まぁ、これも公衆衛生学の専門家と話をすると、やり方が違う、と言われるんですけど。まぁでも、いいじゃないかと。例えば江東区の幼稚園の話でも実際に比較して差が出たんだから、それがどんどん広がっていけば良いと思います。論文のための論文ならそのプロセスが大事かもしれないですが、そうじゃないんですよ、社会実装だから。

財団代表理事 米井嘉一


継続していくことで価値が出る。そして歴史となる。

そういった研究が社会実装されていくことで、世の中に与える影響についてどうお考えですか?

雜賀名誉会長:

我々はずっとやって継続していく、これはやっぱり継続していかないとあかんと思うよ。継続するうちに歴史になると思うよね。そうなって初めて価値が出てくると思う。今の段階ではね、なかなか分からないでしょうけど、まぁみんな、そのうち分かるやろうと。

やっぱりね、後世になってからじゃないと分からないですよ。先ほど宮古島の話が出ましたけど、あれなんかは確実にデータが上がってくるんで。これは宮古島の医師会が絡んでる話でね、医師会ですから、彼らは病気が減ったら困る立場なんですよ。だから普通は反対されるんですけど、協力してくれて。だからこれが実績を収めてくれば、彼らの常識、西洋医学を中心とした今の常識がおそらく変わってくるはずですよ。だから我々は短兵急にすぐ結果を出そうとは思っていないです。日頃からずっとやっていくことでいつか花が咲く、と思ってね。我々はそういう道をずっとやってきてますんで。

財団名誉会長 雜賀慶二


―今後の財団の展望をお聞かせください。

雜賀名誉会長:

そうですね、やはり米井先生がいるんでね。まぁなんかお医者さんの世界ではちょっと野人的に見られているみたいですけど、なんか素朴なところがあるんだろうね。こう、真っ直ぐに通されている、うん、そういうことは私は分かるからね。だからまぁ、当財団は米井先生が先頭に立ってやってくれているんで、もうそれは将来明るいな、と思っています。

米井代表理事:

いや、まぁ、雜賀会長のお話を聞いていると非常に感銘を受けるんですけど、でも地道にやっていくしかないんでね。地道に論文を書いていますよ。そういうところを誰かに評価されると良いなと思います。先ほど話しましたが、比較して社会実装しながらですね、そういうものをね、見てくれている人がいて。それを分かってくれる人が、1人でも2人でも増えていけば良いと思います。

雜賀名誉会長:

私はね、先ほど後世と言いましたが、それは100年も後のことじゃなくて、そんな長期のことではなくて、もっと早い時期に、だんだん人々が分かってくれるようになるやろな、と確信しています。世の中みんな健康に関心を持っているんで。だからね、実際に自分たちが体で感じていること、これが何よりも大事だと思っています。

米井代表理事:

だから世の中に発信するってことも大事だと思っています。私は毎日新聞のウェブ版の医療プレミアっていうところに毎月連載しているんですね。もう7年目、8年続いています。そんなことでも少しずつ、仲間を広げたいと思っています。やはり仲間づくりいうのが大事なんで。そうやって発信していくうちにだんだん仲間が増えていく。社会実装の重要性もあって、研究者も増えてくるんじゃないかと思っています。

産官学消、それぞれの領域で仲間づくりをしていきたいと思います。出てきた研究成果を論文にして評価してもらって、誰かに認めてもらえるように。単にデータが出てるような表だけの論文ではなく、その中に考察として一つ一つ丁寧に説明して工夫して、かなり高度な内容にして訴えかけるような論文にしていかないといけない。それを見た多くの研究者がこれはすごいぞって唸らせられるような。例えば2校比べただけだけれども、そこのバックグラウンドをかなり詳しく丁寧に書いていかないといけないなと思って、そこにはだいぶ精力を注いでいます。


―最後に、財団の活動に関わってくれる方、あるいは世の中に対してお伝えしておきたいメッセージがあればお願いします。

雜賀名誉会長:

ありがたいことに、いくつかの行政が、当財団と包括協定を結んでくださっている。それは、それだけ評価されているというわけですから。やっぱり行政と連携できるというのは信頼度が違いますよね。影響力が大きいです。そういう意味でも非常に追い風かな、と思っています。

それとですね、当財団の場合、米井先生をはじめ、評議員の方とかね、その他の理事の方とかもね、ものすごい力を入れてくれているんですよ。評議員会なんてあったら、ほんとにすごい活発に意見がでて、活気がありますね。そういうところを見ても、未来は明るいなと思います。

左:財団代表理事 米井嘉一、右:財団名誉会長 雜賀慶二


―本日は貴重なお話をお聞かせいただきました。ありがとうございます。

(※)医食同源米とは、健康成分が多く含まれる亜糊粉層を残して無洗米に加工された白米、分搗き米の無洗米、発芽玄米の無洗米、玄米の表皮の蝋層を除去して無洗米に加工された玄米など、食べ続けられる食味によってこれまでの白米や玄米よりも美味しく食べ続けられ、無洗米によって環境浄化を果たし、 SDGs にも貢献でき、そして炊飯の手間を減らすことができるお米を指します。