2026/01/13

金芽米(加工玄米)継続摂取による南箕輪村マタニティ応援プロジェクトが母子の健康改善に成果

南箕輪村と公益財団法人医食同源生薬研究財団は、妊婦の健康と健やかな出産を支援する「南箕輪村マタニティ応援プロジェクト」において、加工玄米(金芽米)の継続摂取が妊産婦と赤ちゃんの健康に良い影響を与えることを実証しました。
本取り組みは、令和5年に締結した包括連携協定のもとで実施されたものであり、官民が連携して母子の栄養改善に取り組む先進事例として、他自治体への波及可能性も期待されます。

【プロジェクト概要】

「南箕輪村マタニティ応援プロジェクト」は、妊産婦が妊娠期間を健康に過ごしてもらい元気な赤ちゃんを産んでもらうことを目的として、令和5年11月から上伊那農業協同組合(以下、JA上伊那)と連携し、村内の妊産婦とその家族に毎月最大10kgの加工玄米を無償提供するプロジェクトです。妊産婦に提供した加工玄米には、東洋ライス社が開発した精米技術により、滋養源であるビタミンやミネラルなどの玄米の栄養を美味しく摂取でき、消化性に優れた無洗米「金芽米(きんめまい)」を使用しました。本プロジェクトでは、出産予定月まで妊産婦に毎日加工玄米を喫食してもらい、アンケートや妊産婦健診、赤ちゃんの1か月児健診などのデータから加工玄米による母子への健康効果を検証しました。

【研究結果】

南箕輪村在住の妊婦22名に、妊娠期から出産月までの期間、通常の食事で摂取する米を白米から本プロジェクトで提供した金芽米に変更してもらうと共に、妊娠初期および出産後にアンケートを2回実施して体調や満足度の評価や、出産時には新生児の出生体重・身長・在胎週数などを記録するなど、南箕輪村役場(産業課農政係・こども課母子保健係)を中心とした協力体制のもとで妊婦支援およびプロジェクトの運営・データ収集を実施しました。
今回は、平均年齢33.4歳・平均身長157.3cm・平均体重53.4kgの妊婦22名を対象に調査を実施した結果、参加者の9割が「とても満足」あと1割は「満足」と回答し、全員が「他の妊婦に勧めたい」と評価しました。さらに、出生児の平均体重は2,887gであり、2,200g未満の出生児は一人も確認されませんでした。

- 介入効果:妊婦の身体面のみならず、精神的な安定にも寄与する可能性が示唆された
- 母子の健康:出生児は十分な体重で出生し、母体の健康改善と関連が示唆された
- 胎生期の糖化ストレス:金芽米摂取が糖化ストレスの抑制に寄与する可能性

今回の調査では、倦怠感・胃痛・冷えなどの自覚症状の改善が認められました。さらに、肌の不調や胃の張りといった身体的不快の改善に加え、「恐怖を感じる」「いらいらする」「怒りっぽい」「幸せと感じない」「生きがいがない」「不安になる」などの精神面における改善効果が多く確認されました。これにより、金芽米の継続摂取は、妊婦の身体面のみならず、妊娠期の情緒安定に寄与する可能性が示唆されました。
また、出生児が十分な体重で出生したことから、母体の健康改善との関連が示唆され、金芽米の摂取が胎生期における糖化ストレス抑制に寄与する可能性も示されました。これらの結果から、金芽米の継続摂取は、母体の身体・精神の健康維持と胎児の健やかな発育の両面に寄与する可能性が示されました。
一方で、妊婦への介入に際しては無理のない導入と個別の栄養状態への配慮が重要であり、これらの知見は今後の母子支援策の基盤形成に資するものと考えられます。

金芽米の継続摂取は、母体の健康維持と児の健やかな出生に寄与し、特に重要な行政上の医療支援の重要な基準である「2,000g未満」の低出生体重児ゼロという成果を生みました。本プロジェクトは、包括連携協定に基づく官民協働の先進的な取り組みとして、地域の母子保健の新しいモデルケースとして、今後は他自治体への波及可能性も期待されます。
本結果はGlycative Stress Research誌において、2025年9月30日付けで研究論文として掲載されております。
なお、南箕輪村は年間出生児数が毎年140人程度で推移していますが、今回のサンプル数が22名であることから、今後サンプル数をさらに増やしていくため、南箕輪村役場の協力を得ながら継続してデータ収集と分析を実施していきます。

Glycative Stress Research 2025; 12 (3): 114-127.
https://www.toukastress.jp/webj/article/2025/GS25-06.pdf

【南箕輪村における新生児の体重の推移と今回の介入結果】

南箕輪村における新生児の体重の推移と今回の介入結果

■南箕輪村における2000g未満の低出生体重児の割合の推移(2010~2024)

南箕輪村における2000g未満の低出生体重児の割合の推移(2010~2024)

■介入前後における自他覚症状の変化

介入前後における自他覚症状の変化

■(公財)医食同源生薬研究財団 代表理事 米井嘉一

今回の結果で特筆すべき点は、2,000 g未満の低出生体重児数を0に抑えられたことです。日本人では2,000 g未満の低出生体重児に注意欠如・多動性障害(ADHD: attention-deficit hyperactivity disorder)の発症リスクが高まる可能性が指摘されています。今後は、3歳児健診まで追跡調査を行うことにより、発達障害児の発症が抑えられるか否か実証したいと考えております。

【お問い合わせ先】

公益財団法人 医食同源生薬研究財団(担当:西山)TEL:03-4334-8868